海外展示会で実際に起きた盗難事件 - リスクと簡単にできる具体的対策

スマホ、PCの盗難は日常茶飯事、美術見本市で起きた白昼堂々の宝石強盗
ブースデザイン、設営、運営等、マーケテイングとブランディングをトータルでサポートする弊社が世界の展示会事情について情報共有します。
世界中で毎年数多くの展示会や見本市が開催されており、企業にとって自社製品や技術を国際市場にアピールする絶好の機会となっています。しかし、華やかな会場の裏には、常に「盗難」というリスクが潜んでいます。
展示会では、企業が長年かけて開発した試作品、独自の技術、貴重なサンプルが一般に公開されます。そのため、模倣や産業スパイ、さらには物理的な盗難まで、さまざまな形で知的財産や物的財産が狙われる可能性があるのです。
特に海外の展示会では、会場の警備体制が日本ほど整っていない場合もあり、対策を怠ると深刻な被害を受けかねません。本稿では、実際に起きた事件の一例を取り上げながら、展示会におけるリスクについて理解を深めていただきます。
実際の事件:ヨーロッパの美術見本市で起きた白昼堂々の宝石強盗
2022年6月28日、オランダのマーストリヒトで開催された世界的な美術・アンティークフェア「TEFAF Maastricht(テファフ・マーストリヒト)」において、武装した強盗グループによる大胆な盗難事件が発生しました。
事件は午前11時30分頃、来場者で賑わう展示会場で起こりました。ロンドンのジュエリーディーラー「Symbolic & Chase」が出展していたブースのショーケースに、武装した4人組のうち1人がハンマーのような鈍器を持って乱入。展示ケースのガラスを破壊し、高級宝石の強奪を試みました。
報道によると、ショーケース内には総額1,000万ドル(約13億円)相当のダイヤモンドおよびサファイアのイヤリングが展示されていたとされます。犯人は展示ブースの壁に組み込まれたケースを破壊しながら、従業員に脅迫行為を行っていたとされています。
事件発生直後に警察が駆けつけ、周辺道路を封鎖するなど迅速な対応が行われました。逃走中だった犯人グループのうち2名が、高速道路A2線上で逮捕されましたが、残り2名や盗まれた宝石の行方については、当初不明のままでした。
この事件では、展示会場の避難は実施されず、会期は継続されたものの、近隣の出展者は「同僚たちはショックを受けているが、何より無事であることが一番重要だ」と語っています。
TEFAFの広報担当者は、「展示会ではセキュリティ侵害があった場合のための厳格な手続きが整備されています」と述べ、主催者と会場運営者は当局と連携し、対応にあたったと発表しました。
海外だけでなく日本でも展示会でのスマホ、PCの窃盗
大事件にならずとも、スマホやPC、展示会ブースにおいてあるサンプル・調度品まで窃盗は全ての展示会で発生しています。
(運営側が必死に、盗み食い・試食目的の人はいないしいたら排除する対策を講じているアピールをしている)フーデックスのような展示会になってくると、「アンケートに回答頂いたらもらえる」や「入場許可書のバーコードを読み込ませてもらったら、もらえる」など条件付きで、配る試供品などもあり、それを、勝手に持って行ってしまう人などもいます。条件をただ知らなかった場合もありますので、このケースでは判断が難しくなります。
先進国の海外の展示会は入場料が1000円ー数万円かかることが普通ですので、盗みも少ないと思ってしまいがちですが、やはり、あります。入場料を払わず、裏口から入ってくる場合も多いと感じています。
模倣や情報盗難も深刻な問題に
また、このような物理的な強奪事件だけでなく、展示会では製品の外観や設計、アイデアを写真やスケッチで盗まれ、後に模倣品として市場に出回るという問題も数多く報告されています。
特に新興市場の来場者や競合企業の関係者が、許可なく撮影を行うケースや、パンフレットに記載された仕様情報を元にコピー製品を製造するケースもあります。
会場によっては、セキュリティの甘さから、夜間に展示物を盗まれる事件も後を絶ちません。
以下にて、詳細かつ実用的なコツを紹介します。展示会での盗難対策にお困りの方、または海外展示会へ初めて出展される企業様にとって、必ずお役に立てる内容です。
弊社が国内外で提供している展示会支援サービスの一環としてもご活用いただけます。
展示会で盗難被害に遭わないための実践的な対策とコツ
展示会成功の鍵は「来場者の獲得」だけではなく、「資産と情報を守ること」にあります。
■ なぜ展示会で盗難が起こるのか?
展示会場は、日中は多数の人が出入りし、夜間は無人になることが多いため、盗難リスクが非常に高い空間です。しかも、狙われるのは高価な機材だけではありません。以下のようなものが標的になります:
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ノートパソコンやタブレット
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USBやSDカードなどに保存された知的財産
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サンプルや商品在庫
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来場者データ、営業資料
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無料配布品やノベルティ(意外にもコストがかかっています)
しかも、盗難を仕掛けるのは不審な外部の人物だけとは限りません。同業他社や、業界スパイ、さらには内部スタッフによる盗難も報告されています。
盗難防止のための基本的なルール
1. 「展示品を持ち込まない」覚悟で対策を考える
最も重要なのは、「盗まれる可能性がゼロではない」という意識を持つことです。貴重品や知的財産は原則として展示会場に持ち込まない、または「盗まれても問題ない」ようなデモ用データを使うことを徹底しましょう。
現場で役立つ具体的な対策
1. 常に身に着ける
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スマートフォンやカードリーダーはテーブルに放置せず、ポケットやホルスターに収納。
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USBメモリは首から下げるストラップ型や鍵付きのケースを活用。
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女性スタッフのハンドバッグは原則としてブース内に持ち込まない。
2. 意図的な誤ラベリングで目くらまし
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「高価な電子機器が入っている」と分からないように、梱包箱に「チラシ」「販促グッズ」「名札」などと誤表記する。
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外観が目立たない段ボールを使い、テープやシールで再封印する。
3. 防犯担当を決めておく
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接客担当やデモンストレーターだけでなく、**「見張り役」**を1人置くと安心。
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人手が足りない場合は、持ち回りで交代制にするだけでも効果あり。
4. 物理的なロックの導入
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施錠可能な展示ケース、ケーブルロック、南京錠付きキャビネットを活用。
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貴重品は固定什器にワイヤーで接続し、「持ち運べないようにする」。
5. 夜間の対策
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主催者のセキュリティは会場全体の監視であり、個別ブースの保護を保証するものではありません。
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夜間警備員の追加手配、監視カメラのレンタル、動体検知アラームなどを自社で準備する。
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海外の場合、防犯ステッカー(例:24時間監視中)をブースに貼るだけでも抑止力になります。
展示会の段階別リスクと対策
フェーズ | リスク | 対策 |
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搬入・設営中 | 作業中の混雑、無人の時間帯 | 工具やPCは持ち歩く/夜間は鍵付き倉庫へ保管 |
開催中(昼) | 来場者混雑中に隙を突かれる | 見張り役を配置/展示物の固定/個人持ち物はブース内に保管 |
開催中(夜) | 会場閉鎖後の無人時間帯 | 主催者警備+自社手配の夜間警備/展示物をカバーや布で隠す |
撤収時 | 荷物が乱雑な中での盗難 | 小型アイテムはすぐ回収/トラック積み込みまでは絶対に油断しない |
搬入・設営・撤収時は、セキュリティが甘いのですが、担当者が現場にいられない・現場を離れる必要があるケースも多く、特に要注意です。
盗難対策の“コスパ良い”クリエイティブアイデア
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中古のディスプレイケースや南京錠をヤフオク等で購入:コストを抑えながら実用性は十分。
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GPSタグ付きのAirTagやTileを展示品に取り付ける:スマホで追跡可能で導入も手軽。弊社で取扱いがございます。
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スタッフ用ベストや名札に「防犯管理者」と記載:盗難防止の心理的効果が高い。
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展示台の裏に隠し棚を設けて保管スペースを確保:外見上は見えない工夫で盗難リスク低減。
海外展示会での注意点(特に欧州・米国)
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ブース内に貴重品を「置かない」「見せない」ことが原則。
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荷物の搬入・搬出時に積み下ろしに立ち会うことを強く推奨。
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ホテルやレストランに立ち寄る際も、車内に展示物を残さない。
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展示会会場や宿泊先の治安情報を事前に確認し、リスクの高い地区は避ける。ホテルの費用が驚異的に高いので、結局、リスクの高いところになってしまうかもしれません。また、
「展示成功の鍵=防犯意識の高さ」
展示会において成果を上げるためには、盗難による損失を最小限に抑える意識と準備が欠かせません。たった1つのミスで何十万円〜何百万円の損害が発生することもあります。
弊社が提供する展示会支援サービスでは:
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海外展示会における現地での盗難リスク対策のアドバイス
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日本語対応可能な現地警備員の手配
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防犯を考慮したブース設計・施工
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設営・撤収サポート中の物品管理の代行
など、お客様の「資産」と「ブランド」を守る展示会サポートを国内外問わず行っております。
盗難対策を徹底し、安心して展示会本来の目的——顧客との出会い、ビジネスの成長——に集中しましょう。
どうぞ、お気軽にご相談ください。日本国内、海外での展示ブースデザイン、設営、運営だけでなく防犯設計や管理サポート・コンサルまで、御社に最適なソリューションをご提案いたします。
日本国内・海外展示会ブースデザイン、設営、運営、コンサルのお問合せ
展示会ブース、イベント、マーチャンダイズまで、ブランディング、マーケティングのトータルサービス。日本国内・海外展示会ブースデザイン、設営、運営、コンサルのお問合せは弊社に。
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