ドイツの公共交通機関乗り放題 ドイチュラントチケット(Deutschland-Ticket)とは?どう買うか?どう使うか?身分証明書は携帯必須です

ドイツの公共交通機関乗り放題 ドイチュラントチケット(Deutschland-Ticket)とは?

AI created image by onegai kaeru
AI created image by onegai kaeru

どう買うか?どう使うか?身分証明書は携帯必須です

長期の単独ドイツ旅行・出張者には朗報です。

 

公共交通乗り放題チケットの「ドイチュラントチケット(Deutschland Ticket)」について説明します。

日本でいう新幹線ICEや特急ICは乗れませんが、電車の他にバスや路面電車、水上バス(船)が乗り放題です。チケットを買うのが分かりにくいドイツでは、これで、どんどんのれるので大変便利です。

 

ドイツで全国的に利用できる格安公共交通チケットとして注目されているドイチュラントチケットは、2013年頃から断片的に存在した地域運賃体系をひとつにまとめ、国内の地域・近距離交通を月額定額で利用できる制度です。

 

特に、その前身として2022年夏に実施された「9ユーロチケット」は社会的にも広く話題になり、現在の制度の基礎となっています。9ユーロで乗り放題であった当初は、大人気でした。現在は、かなり値上がりし、お得さがちょっとなくなりました。

 

<<なぜドイツ鉄道やバスは遅延、運休ばかりなのでしょうか?>>

 

現在のドイチュラントチケットの概要

 

9ユーロチケット終了後、2023年5月1日から導入されたのが「ドイチュラントチケット」です。当初の価格は49ユーロでしたが、その後制度運営のため段階的に値上げが進み、2026年1月からは63ユーロとなっています。このチケットは、全国の地域・近距離公共交通を対象にした月額定額乗り放題制度であり、9ユーロチケットと同様にICE、IC、ECなどの長距離高速鉄道は含まれません。

 

ドイチュラントチケットはサブスクリプション形式で販売され、多くの場合スマートフォンアプリやオンライン購入、交通会社(MVVやTranzer 日本から購入する場合は、これらの旅行会社を使う方法で可能となります。詳細は、この記事の後半で説明します)の窓口で手続きできます。支払い方法としてはクレジットカードやPayPal、地域によっては銀行口座引き落としにも対応しており、外国人旅行者でも支払い手段があれば問題なく購入可能です。ただし、1か月だけ利用したい場合はその月の購入・解約期限に注意する必要があります。

 

ドイチュラントチケット利用時は、車内でのチケットチェック(専用端末でスキャンしてチェックしてもらいます)の際、写真付きの身分証明書を携帯し、提示することが必要です。旅行者の場合は、パスポートなので、紛失の可能性など考えると、ちょっと不便です。

 

どう使えば失敗しないか

 

チケット購入後、実際にドイツで鉄道に乗る際のポイントはいくつかあります。まず、移動計画を立てるときは、乗換案内アプリで「地域・近距離交通のみ(Nah- und Regionalverkehr)」に絞った検索を行うことが重要です。これにより、誤ってICEやICなどの利用不可な列車をルートに含めてしまうことを避けられます。

地域列車はICEに比べて停車駅が多く、接続待ちや遅延が発生することがあります。特に長距離移動を計画する場合は、乗換駅や待ち時間が最小になるようにルートを事前に複数案検討することが失敗を防ぐコツです。列車によっては、繁忙時間帯に混雑しやすいため、余裕を持ったスケジュールを立てることが推奨されます。

 

旅行者向けおすすめルート例

 

ドイチュラントチケットを活用する場合、都市間を観光しながら移動するルートが向いています。例えば、ベルリンを起点にハンブルク、ブレーメン、ハノーファーと巡る北ドイツの都市間ルートは、地域列車中心でも比較的スムーズに移動できます。ライン川沿いの都市、ケルン、デュッセルドルフ、ボンといったライン地方の都市巡りも、ICEを使わずとも地域列車で観光がしやすいエリアです。

 

南ドイツでは、ミュンヘンを基点に近郊都市やライン川の支流に沿った小都市巡りを組み合わせることができます。また、旅行者の目的によっては、地方の観光名所への日帰り旅にもドイチュラントチケットが向いています。

 

ドイチュラントチケット誕生の経緯 9ユーロチケットとは何だったのか?

 

9ユーロチケットは、2022年6月1日から8月31日までの3か月間、ドイツ全土の地域・近距離公共交通が月額9ユーロで乗り放題となる特別な施策でした。この制度は、燃料価格と生活費の急激な上昇が国民生活に影響していた時期に導入されました。ロシアによるウクライナ侵攻後、エネルギー価格が高騰し、ガソリンやディーゼルなどの価格が上昇したことを背景に、生活負担の軽減と経済支援、さらに公共交通利用の促進・エネルギー消費の削減を目的として実施されたものです。

この9ユーロチケットは、国全体の地域・近距離公共交通の2等席で利用でき、RE、RB、Sバーン、地下鉄、バス、トラムといった都市交通を含む非常に広い範囲をカバーしました。ただし、高速列車であるICE、IC、ECや民間高速列車は利用対象外でした。

 

9ユーロチケットの社会的評価

 

9ユーロチケットは約5,200万枚が販売され、既存の定期券利用者約1,000万人も自動的に対象となりました。調査によれば、利用者の約10%が自動車利用を減らしたという回答があり、公共交通利用の増加やCO2削減にも一定の効果が見られたという報告もありますが、全体の自動車利用削減効果については意見が分かれています。

 

また、期間中は非常に多くの人が公共交通を利用したため、特に週末や観光シーズンに地域・近距離列車が混雑し、遅延や車内の混雑が生じたという現場の声も少なくありませんでした。

昔、大阪から東京へ転勤してきた友人から、通勤電車で、東京では混み過ぎて「体が浮く(浮遊)」話を聞きました。実は、9ユーロチケット利用時、筆者は、ドイツの電車でこれに近い状態を経験しました。 

これは後のドイチュラントチケット導入後にも利用者や旅行者から言及される点であり、制度設計上の課題として議論されました。

 

9ユーロチケットがなぜ導入されたのか

 

9ユーロチケット導入の主な目的は、2022年当時の物価上昇と燃料価格高騰による生活負担を軽減することでした。燃料税の一時的な削減と合わせて実施された9ユーロチケットは、国民が公共交通に乗り換えることで燃料消費を抑え、生活費を節約しつつエネルギー需要のピークを緩和する狙いも含まれていました。つまり、COVID-19対策だけでなく、エネルギー危機と生活コストの複合的な問題に対応するための施策として位置づけられていました。

  

私の体験──9ユーロチケットの旅

 

筆者は2022年夏の9ユーロチケット期間中、ハンブルクを出発点にデュッセルドルフ、ベルリン、ケルンなどを旅しました。ICEやICは利用できないため、複数回の乗り換えを伴う旅でした。ある区間では、待ち時間が長く、灼熱のなか、30分以上列車を待つこともありましたが、追加料金を気にせず地方駅にも自由に立ち寄れた点は、通常の高速列車中心の旅では得られない経験でした。

また、列車が非常に混雑していたことも印象的でした。特に週末や観光シーズンに近い時期は、車内が満員になる区間も多く、座席が確保できず立ちっぱなしで移動したこともありました。夏の暑い中で、クーラーもまともに効かない(時にはクーラーが壊れていることもありました)車内で、体調を崩す方も見ました。

これは9ユーロという価格が多くの人にとって非常に魅力的であったためであり、同様の混雑は値段とは別の理由で、休暇シーズンなど、現在のドイチュラントチケット利用時にも起こる可能性はあります。

 

利用上のメリットとデメリット

 

ドイチュラントチケットの最大のメリットは、全国を一つの定額料金で移動できることです。都市部だけでなく地方都市や郊外の公共交通も対象となるため、旅程の自由度が高まります。また、追加料金の心配なくバスやトラム、地域列車を組み合わせられるため、初心者旅行者にも使いやすい制度です。現在は、9ユーロではないので、混雑も、9ユーロチケット当時の混雑ほどではありません(とはいえ、遅延が多いので、突然、日本の通勤列車かと思うほどの混雑に見舞われることもあります)。

一方で、長距離移動に時間がかかる点や、特に混雑しやすい時間帯・路線では快適性が低下する可能性があります。また、チケットの自動更新制度により、利用しない月でも解約手続きを忘れると料金が発生する点には注意が必要です。

 

ドイチュラントチケットは、9ユーロチケットの制度を踏まえて進化した、ドイツの地域・近距離公共交通を月額定額で利用できる制度です。歴史的には、エネルギー価格の急騰や生活負担軽減、公共交通利用促進を背景に導入された9ユーロチケットの経験が現在につながっています。利用者にとっては、都市観光と地方巡りを組み合わせた旅程を比較的安価に実現できる一方、移動時間や混雑といった現実的な制約もあります。

 

旅行計画を立てる際には、ルート検索の工夫や時刻表の確認、余裕を持ったスケジューリングが成功の鍵となります。また、外国人旅行者でも購入・使用は可能ですが、短期利用の場合は解約期限に注意して計画を立てることが重要です。

 

<<併せて必読、なぜドイツ鉄道やバスは遅延、運休ばかりなのでしょうか?対策は?>>

ドイチュラント・チケットはドイツ国外、日本にいながらでもウェブ版(Web App)で購入できる

ドイツ旅行を計画する日本人観光客にとって、最初に知っておくべき最重要情報は、「ドイチュラント・チケットはドイツ国外、日本にいながらでもウェブ版(Web App)で購入できる」という点でございます。多くの日本語情報では「現地でアプリを入れて購入する」と簡略化されがちですが、実際には日本のApp StoreやGoogle Playでは一部アプリが表示されない、あるいはドイツの銀行口座(IBAN)を要求されるなど、観光客にとって現実的でないケースも少なくありません。そのため、日本から確実に購入するためには「海外クレジットカード対応のウェブ版(Web App)」を利用することが、もっとも安全かつ確実な方法となります。

 

現在、日本在住の旅行者がドイツ国外から問題なく購入できる代表的なウェブ版サービスとして、まず挙げられるのがミュンヘン交通公社(MVV)の公式ウェブチケットサイト(https://www.mvv-muenchen.de)、ヨーロッパ全体をカバーするTranzer(https://europe.tranzer.com)、そして近年利用者が急増しているmo.pla(https://www.mopla.solutions)でございます。これらはいずれもドイチュラント・チケットの正規販売事業者であり、VisaやMastercardなど日本発行のクレジットカードに対応している点が共通しております。

 

日本から購入する場合の具体的な流れを、ウェブ版を前提として詳しくご説明いたします。まず、日本出発前、またはドイツ到着前に、パソコンやスマートフォンのブラウザから上記いずれかの公式サイトへアクセスします。アプリのダウンロードは不要で、SafariやChromeなど通常のブラウザで問題ございません。サイトにアクセス後、「Deutschlandticket」もしくは「Deutschland-Ticket 58€」と表示された商品を選択し、アカウント作成画面へ進みます。

 

アカウント登録では、メールアドレスとパスワードの設定が求められますが、居住国は日本のままで問題なく、日本の住所をローマ字表記で入力しても拒否されることはありません。ここで重要なのは、ドイツの住所や住民登録は一切不要であるという点でございます。これは観光客にとって非常に大きな利点と言えます。

 

次に支払い画面へ進み、クレジットカード情報を入力します。MVV、Tranzer、mo.plaはいずれもEU域外カードに対応しており、日本のVisaやMastercardであればほぼ確実に決済可能です。PayPal、Apple Pay、Google Payが利用できる事業者もあり、為替手数料を抑えたい方には便利でございます。支払いが完了すると、数秒から数分以内にデジタルチケットが発行され、QRコード形式で表示されます。このQRコードこそが、実際に乗車時や検札時に提示する「乗車券」そのものでございます。

 

発行されたQRコードは、ウェブ上で表示されるだけでなく、Apple WalletやGoogle Walletに追加できる場合も多く、オフライン環境でも提示できる状態にしておくことが推奨されます。特に長距離移動中や地下区間では通信が不安定になることがあるため、スクリーンショットを保存しておくことも有効でございます。

 

ここまでが、日本国外からドイチュラント・チケットを購入するための最重要ステップであり、この方法を理解しておけば、ドイツ到着初日から迷うことなく公共交通を利用することができます。

続いて、ドイチュラント・チケットそのものの制度について、改めて整理いたします。本チケットは月額58ユーロで、ドイツ全土の地域公共交通機関が乗り放題となるサブスクリプション型チケットでございます。対象となるのは、バス、トラム、Uバーン、Sバーン、そしてRE(快速)やRB(普通)などの地域鉄道であり、都市内移動から近郊都市への移動まで、追加料金なしで利用できます。購入した地域に縛られることはなく、例えばミュンヘンで購入したチケットをベルリン、ハンブルク、ケルンなど全国どこでも使用可能です。

 

一方で、ICE、IC、ECといった長距離列車、またFlixTrainなどの民間長距離列車は対象外となります。ドイチュラント・チケットはあくまで「日常交通用」の制度であり、新幹線に相当する高速列車には使用できない点を、必ず理解しておく必要がございます。地域鉄道と長距離列車が同じホームに発着することも多いため、乗車前には列車種別の確認が不可欠です。

 

有効期間についても重要な特徴がございます。ドイチュラント・チケットは「暦月制」であり、毎月1日から月末までが有効期間となります。月途中で購入した場合でも料金は満額請求されるため、滞在期間が短い場合には割高になることがあります。そのため、2週間以上の滞在、もしくは複数都市を移動する旅程の場合に、特に高い価値を発揮いたします。ちなみに、ドイツでの年月日の書き方は、日月年の順になります。

 

また、本チケットは自動更新のサブスクリプションであるため、解約手続きを忘れないことが極めて重要です。原則として、解約期限は「前月10日まで」と定められており、この期限を過ぎると翌月分の料金が自動的に請求されます。ウェブ版で購入した場合も、マイページや登録メールに記載された解約リンクから簡単に解約可能ですが、旅行中は日付の感覚が狂いやすいため、購入直後に解約リマインダーを設定しておくことが強く推奨されます。

 

注:日本でも、コロナ禍以降そうですが、ドイツ、欧州全土で、様々なルールが日々変わっており、この記事を読んだ時点では、購入手段が制限されていたり、値段がさらに上がっている可能性があります。

ドイツ市場進出、ヨーロッパ市場進出支援

Please enter the code:

Note: Please fill out the fields marked with an asterisk.

Write a comment

Comments: 0