ドイツ VWスキャンダルの裏側
VW社は、現在のところ世界で最強の自動車会社である。
いわゆるフォルクスワーゲンだけを作っているのではない。アウディ、ポルシェ、ベントレー、ランボルギーニ、ブガッティ(追記:ブガッティは2020年現在、売却される可能性が示唆されている)という高級・最高級車を所有するだけでなく、シュコーダという格安自動車も有している。一時、スズキもグループに入れようと画策したが失敗した過去がある。
「安くて良い物」を作ってきた日本の自動車企業とは、性格の異なる会社と考えなければならない。不況に左右される格安、中間価格帯の車とは異なり、世界の富豪が常に欲しがる車を作れるのがVWグループの強さである。ミニクーパーとロールスロイスを買収したBMWも追いつけない強さがあるのである。
そんなVWがスキャンダルに巻き込まれた。ディーゼル排ガス規制をすりぬけるずるをしていたというのだ。
課徴金は1兆円以上に上るとも予想される。
優秀なブランド戦略と中国での圧倒的シェアで、トヨタを抜き販売車数世界一になったのがまだ先ごろのニュースであった矢先である。
この事件で、ついにCEOのMartin Winterkorn氏が辞任することになった。
このVWの問題が米国で取り上げ始めたとき思い出していたのは、今年始めのFerdinand Piech氏との確執であった。Piech氏はVWが買収したポルシェの創業者の孫でありWinterkorn氏の元上司に当たる。
もともとポルシェがVWの買収を画策し、VWに買収されてしまったというポルシェとVW側の長年の権力闘争がつづいている。
同氏はWinterkorn氏がCEOに適職ではないと反意を唱えていた。結局、VWの取締役会はWinterkorn氏側につき、Piech氏は退く結果となった。
裏事情?
今回の問題がなぜ発覚したかだが、裏側にPiech氏がいたのではないかと勘ぐりたくなるのは考えすぎだろうか。
ドイツのメディアは既にPiech氏がVWに復帰する、またはポルシェ側の誰かがVWに送られるのではと噂をしている。
このような政変の後、問題の渦中で辞任した後任の人物が動いていたというのはよくある話だ。
Winterkorn氏は辞任はしないで今回の問題に取り組むと繰り返していたのだが、心中にはPiech氏にやられたという気持ちがあったのかもしれない。
今のところ他の車会社では同様の不正が発覚していないが、様々な筋が綿密な調査をしていると思われる。
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